写真のお品物は、先日お買取りいたしました、田上芳明 八十三翁作の碁笥と碁石です。
碁盤と並んで重要となる碁石、その入れ物である碁笥(ごけ)にも、其々の良品があります。
木製中心の碁笥の素材は、碁盤の榧や桂などとはまた異なり、島桑・桑・黒柿・花梨・欅・黒檀・紫檀・槐・桜・タモなどがあります。
最も高級品となるのは「島桑」で、これは三宅島・御蔵島産に限った桑で、本土の桑と区別されます。
離島で潮風にもまれ、南の温かい太陽で育つ島桑は、年輪が緻密で美しい木目となり、以前は家具などにも用いられましたが現在は原木の価格が高騰しているため、碁笥のサイズでも高額となりました。
黒柿は白木に黒い木目が映える希少な素材で、花梨は非常に硬く丸い碁笥に成形するには技術を要し、香り高い欅と桜は白色系の木目が品よく、それぞれ囲碁愛好家に好まれる素材です。
それぞれの木目や色味の美しさと、職人の技術が伺える蓋との木目の調和によって、出来の良し悪しが決まります。
木目以外の碁笥
変わった珍しいものに金蒔絵・堆朱・翡翠などがあります。
古い時代のもの、旧家所蔵であったものが多く、堆朱と翡翠に関しては中国の古美術である場合もあり、これらの碁笥は骨董価値が高い傾向にあります。
碁石の戸数は白180個・黒181個が基本です。
一度の対局ですべて使うことはほぼ無いと考えられますが、個数が欠けている場合、ご売却時にマイナスとなることがあります。
碁石にはサイズがあり、厚み・直径で決まります。
素材が天然蛤の場合は、貝殻自体の厚みに限度があり、分厚いものは価値が高くなります。
白碁石の素材
白碁石は本蛤のほか、メキシコ産蛤、硬質ガラスやプラスチックがおもに流通しています。
蛤の一種であるスワブテ貝が珍重され、現在は碁盤の本榧と同じく宮崎県日向産のみとなりました。
安価な新品で出回る蛤碁石は、現在ではメキシコ産が主流となっており、日向の国産蛤碁石とは区別されます。
スワブテ貝・メキシコ産ともに本蛤碁石のなかで縞目の出方によって雪印、月印(華印)、実用の松竹梅ランクに分けられます。
蛤の縞目は碁盤や碁笥の木目と同様に、繊細で細やかなほど高級とされています。
黒碁石の素材
黒碁石の高級品は、那智黒石がほとんどです。
三重県熊野市で産出する那智黒石が碁石に使われるようになったのは明治に入ってからです。
白碁石と同様、実用の廉価品には硬質ガラスとプラスチックがあります。
その他の碁石
古い普及版の碁石は自然石、明治大正は陶器・ガラスなどがありました。
古い高級品には瑪瑙、象牙鯱歯石、翡翠があります。
翡翠の碁石はおもに中国で作られたもので、白石には透明度の高い翡翠、黒石は黒翡翠となり珍しい品物です。
碁笥・碁石は通常セットで売買されることが多く、ご売却の際もセットであると金額が付きやすくなります。
碁笥をご売却される際は、碁笥2つを納める箱の有無・素材のほか、棋士の揮毫や箱書きのある碁笥はお買取りで高額査定がつく可能性があります。
碁石も素材のほか、個数が欠けていないか、小傷の有無が判断基準となります。
さらに碁石と碁笥それぞれサイズが合い一定の余裕をもって納められることが重要です。
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