写真のお品物は、昭和56年にフランクリン画廊から限定発売された、源氏物語貝合わせです。徳川黎明会の監修で、ボーンチャイナの良質な陶器に日本画家の宮城真が絵付けを担当し、54点すべてと外箱である貝桶も保存状態が良好であったため高値でのお買取りとなりました。
貝合わせは古くは貝覆いという呼称でした。文学での記述では室町以前から上流階級の遊びの一つとして登場するものの、平安末期から室町時代の京都は戦災が多く、他の美術品や装束と同様に当時の品物は失われてしまいました。
はじめは蛤そのものの柄と形を合わせていたのが、時代が進むにつれ貝の内側に紙を敷き金地に豪華な絵を描いたものに進化していきます。絵柄は身に付けるべき教養であった源氏物語や伊勢物語など古典文学の絵柄のほか、自然の風物や公家の男女などが描かれ、宮中や貴族の女性たちの間で親しまれました。
貝合わせは一対の貝が互いのみ合うことから夫婦和同の意味を持つようになります。
桃山時代から江戸初期にかけて蒔絵技術など工芸が進歩すると、趣向を凝らした貝とそれを仕舞う貝桶一式が婚礼調度品として重要になっていきました。
現存する古い貝合わせの貝は殆どが江戸時代のもので、上流階級の婚礼調度品として定着しており需要が多かった事が伺えます。当時の正式な貝合わせでは360枚もの極彩色の貝と、漆塗りに蒔絵を施した貝桶1対が一揃いとされ、大名家の姫の輿入れ時には先頭で運ばれ、婚家に到着して最初に受け渡される貝桶渡しが重要な儀式となりました。
この慣習は明治維新以降失われ、明治、大正、昭和と婚礼調度品としての貝桶は作られなくなり、現在は美術館や博物館で観覧する品物となりました。
現在では趣味の美術品として貝合わせと貝桶は蒐集家に愛され、360枚よりも小規模で一般家庭で扱いやすいものが作られています。
フランクリン画廊の貝合わせ「源氏物語」をお買取りいたします
今回お買取りいたしました徳川黎明会監修 フランクリン画廊発売の源氏物語貝合わせは、54帖と同じく54枚でひとつの貝桶に収まる現代的な設計のお品物です。伝統的な貝合わせは天然の蛤に描かれていますが、こちらはボーンチャイナの良質な陶器で貝を模り、絵付けがより映えるものとなっており、保存も安心なお品物といえます。
発売当時は受注限定生産であった希少なお品物で、源氏物語がモチーフということもあり、中古市場に出回る数は少ないものの需要が多いと言えます。写真のお品物のように全体に保存状態が良く、純正の蒔絵の貝桶を伴うものは高値でのお買取りが期待できます。
いわの美術では骨董・古美術品をお買取りしており、古典文学と古典芸能の結晶であるフランクリンミントの源氏物語貝合わせのお買取りを強化しております。お手元にご売却をお考えの貝桶一式がございましたら、ぜひ、いわの美術へお任せください。
専門の査定員が拝見し、査定はすべて無料にていたします。お問い合わせはお電話のほかメールとLINEでも受付しており、お写真をお送りいただくと無料にて査定しご返答が可能となります。次世代、次々世代と長く伝えていきたいお品物です。お客様からのお問合せをお待ちしてております。