写真のお品物は、織田広喜(おだひろき/織田廣喜)の油彩作品「少女像」です。
織田広喜は洋画家として昭和から平成にかけ長く活躍し、二科会理事も務めた洋画界の重鎮です。
想像力をもって描くことを大切にし、柔らかな独特のタッチで描きとる織田の作品は、人物と風景が主となります。
なかでも赤い帽子をかぶった少女のモチーフを好み、多くの作品が生まれました。
福岡県で1914年に生まれ、幼少の頃から父の蔵書の美術全集を開いてはゴッホを模写する絵の好きな子どもとして成長しました。
鉱業会社に勤めた父が病に倒れ、家計のために高等小学校卒業後から様々な仕事を経験し家族を支えながらも、絵筆を置くことはありませんでした。
10歳で町の和尚に墨絵を習い、17歳の時にゴッホに触発され描いたひまわりの作品が福岡県展で入賞し、早熟な才能を見せます。
町の夏祭りで自宅玄関先に作品を展示したこともあり、苦境にあっても画家への道を歩み続け、18歳で上京し日本美術学校に入学します。
在学中は演劇の舞台絵描きや黒子の仕事をしながら、1939年に西洋画科を卒業すると、翌年に二科展で初入選となりました。
第二次大戦中は徴用を受け、戦後は駐留軍施設の壁画の仕事をこなし研鑽を重ね、1946年の二科展で「黒装」が二科展受賞となりました。
一時は1948年に渡米する直前の岡田謙三宅に身を寄せ、苦境にあっても制作は波にのり1950年に織田広喜は二科会会員に推挙されます。
そして「黒装」の黒と白の力強いコントラストの美しい作品を契機にフランス人女性・リラと出会い、2人は1951年に結婚に至りました。
この時期の大作「賛歌」には画布を繋ぎ合わせた跡があり、復興期の生活が苦しい中でも制作を続け、同じく大作の「月見」の発表で多くの注目を集め始めました。
1954年に銀座のサエグサ画廊で開催した初の個展は成功を収め、まだ見ぬ欧州に思いを馳せながら制作していた織田広喜も、1960年に初めて単身海路でフランスへ旅立ち念願のパリ訪問を叶えました。
パリ旅行は織田広喜の色使いなど作風に影響を及ぼし、その後も4度訪れフランスでも活動し、新たな活躍の場を切り拓きます。
1968年に前年の出品作「噴水とマヌカン」が文部省買上げとなり、さらに同年の第53回二科展で「小川の女たち」「サンドニの少女」で内閣総理大臣賞を受賞、再び文部省買上げとなる快挙となりました。
1971年には東郷青児賞を受賞、さらに同年パリでの初の個展も開催し、1970年代から80年代にかけてはパリと日本での大規模な個展、画集と銅版画集の刊行が続きます。
1980年に二科会の常務理事に就任し名実ともに日本洋画界の重鎮となり、翌年フランスでの活躍が評価されサロン・ドートンヌ会員への推挙を受けます。
栄光のなか1983年に妻リラが病に倒れ、それ以降は病床の隣でキャンバスに向かい、15年間の介護と画家活動を両立し、最愛のミューズを看取りました。
1990年にはニューヨークでも個展を開催、1992年に勲四等瑞宝章を受章、1994年には郷里に美術館「ミュゼ・オダ」を開館、1995年に恩賜賞・日本芸術院賞を受賞し日本芸術会会員となります。
翌年に碓井町立織田廣喜美術館が開館すると、1998年にも滋賀県に赤い帽子・織田廣喜ミュージアムが開館し、計3カ所もの美術館をもつに至りました。
2003年に勲三等瑞宝章を受章、フランスでも芸術文化勲章シュヴァリエを受賞し、2006年に二科会理事長に就任、名誉理事長となった2012年に、98歳で逝去されました。
没後、従四位に追叙されています。
織田広喜の作品をお買取りいたします。
織田広喜の作品には女性・少女が多く登場し、特に赤い大きな帽子の少女は同じものが二つとなく、多彩な表現がみられ人気のモチーフとなっています。
風景画も人気があり、特に20号、30号などサイズの大きな作品は、中古美術市場でも高額でお取引される傾向にあります。
小さなサイズの作品でも肉筆の赤い帽子の少女像は人気が高く、今回のお品物も状態良好につき高評価でのお買取りとなりました。
長男の織田広比古(ひろひこ)も画家となり、幻想的な画面は父・織田広喜を彷彿としながらも独自の絵画世界を展開しています。
織田広比古は50代で夭逝し絶筆となっており、近年作品の評価が高まりつつあります。
織田広喜の作品をご売却の際には、作品の状態、ダメージ(色あせ傷ヒビ等)有無、額装の有無、タトウ箱や証明書などご購入時の付属品有無 が査定の重要ポイントとなります。
いわの美術では美術品・骨董品を中心にお買取りを行っており、織田広喜の作品も過去に複数のお買取り実績がございます。
ご自宅やご実家のお片付け、蔵や倉庫の整理にて、ご売却をお考えの織田広喜作品がございましたら、いわの美術にお任せくださいませ。
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