いわの美術でお買取りしました、大樋年雄の水指をご紹介いたします。
石川県金沢市に350年続く大樋焼は楽焼の系譜をもち、代々茶陶を作り続けてきました。
大樋年雄は10代大樋長左衛門の長男であり、2016年に11代を襲名しています。
大樋焼はすべての工程が手作業で行われ、作家自身の手で生み出されました。
今回お買取りしました水指も、均整の取れた形に手捻り景色が際立ち、窯変の生み出す偶然の色合いと相まって二つとない魅力を放っています。
茶碗や水指をはじめとする茶道具を送り出してきた大樋焼のなかでも、11代大樋長左衛門・大樋年雄の手掛けるこの舟形の水指は珍しく、市場でも価値のあるお品物です。
大樋焼は楽焼の脇窯として江戸時代初期に始まります。
加賀藩五代当主・前田綱紀は、加賀の文化振興のために京都から茶人の仙叟(せんそう)と陶工の初代長左衛門を招聘しました。
長左衛門が作陶を始めた際、金沢郊外の大樋村の粘土を用いたことから大樋焼と呼ばれるようになります。
長左衛門は京都楽家4代一入の最高弟であり、大樋焼は楽焼の正式な脇窯として発展しました。
楽家から譲り受けた飴釉は、大樋焼の特徴の一つとなり、大樋焼の伝統として受け継がれています。
大樋年雄は10代大樋長左衛門の長男として、1958年に石川県金沢市に生まれました。
父である10代と祖父の9代の仕事ぶりを間近に見て育ち、やがて父に師事するようになり、三代徳田八十吉にも学びました。
1981年に玉川大学文学部芸術学科卒業後渡米し、1983年には父10代の初期作を買い上げた美術館による、イタリア・ファエンツァ国際陶芸展にて入選します。
在米中は陶芸家・リチャード・ハーシュと「アメリカン・ラク」のワークショップを各地で開催し、1984年にボストン大学大学院修士課程を修了しました。
帰国後は大樋窯を活動拠点とし、展覧会や講演、公開制作のために年に数回アメリカへ渡る生活となります。
由緒ある窯元の家に生まれながら、海外でも学んだ大樋年雄は、鋭い視点で新たな表現へ挑んでいます。
大樋焼の伝統を継承しながら、陶壁画の製作など活躍は多岐に渡り、加賀屋銀座店をはじめ多数の建築デザイン・空間プロデュースも手掛けています。
1989年に中日国際陶芸展にて入選し、各種工芸展や日展、日本伝統工芸展に出品を重ね、この頃からすでに空間デザインの仕事を始めています。
1990年に第46回現代美術展最高賞を受賞、1993年には日本工芸会正会員となり、1997年にいしかわインテリアデザイン賞などを受賞しました。
2000年に日本伝統工芸美術展で現代工芸大賞を受賞、2002年には第34回日展で特選となり、2005年第37回日展でふたたび特選を受賞しています。
2010年に金沢世界工芸トリエンナーレのキュレーターを務め、2011年日展審査員に就任。
2016年に満を持して11代大樋長左衛門を襲名し、現在まで多数の受賞を重ねながら活躍を続けられています。
茶道具の窯として歴史ある大樋焼歴代のなかでも、ひときわ個性の光る大樋年雄・11代大樋長左衛門の作品は、蒐集家からも高い人気があります。
陶印は年雄の「年」の字が捺され、大樋焼伝統の飴釉をはじめ、白釉、黒釉、緑釉や窯変を活かすものなど多様な作風がみられます。
器の種類も茶道具の茶碗・水指を筆頭に、酒器、中国青銅器写しの古陶磁に倣った祭器など、多岐に渡ります。
現在も個展を開催され、新作の供給のある現役作家ですが、初期など以前の作品も人気が高く、中古美術市場でも盛んにお取引がみられます。
ご自宅やご実家、蔵や倉庫のおかたづけなどで、ご売却をお考えの大樋年雄の作品をお持ちでしたら、ぜひいわの美術にお問い合わせくださいませ。
いわの美術では骨董品・美術品を幅広くお買取りしており、茶道具・陶磁の専門知識をもつ査定員が丁寧に拝見いたします。
お問い合わせはお電話・メール・LINEで受付中です。お写真をお送り頂きますとオンライン無料査定もご利用いただけます、ぜひご検討ください。