水滴とは書に用いる硯に水を入れるための容器です。水滴だけを蒐集している方も多く、人気の高い分野のひとつです。いわの美術では、水滴の買取にも力をいれております。
元来の意味での水滴とは、2ヵ所の小さい孔のあいた、少量のしずくを落とす工夫がなされた容器を指していましたが、今日では、硯に水を注ぐ注水容器の総称として水滴という言葉が使われています。形態や大小によって、水注、硯滴、水中丞、水盂、蟾蜍などとも称されています。
人により分け方が異なりますが、水滴とよばれるものは、形態によって、元来の「水滴」と、「水注」という注口と把手をもった水指形、鉢形や壺形の「水丞」に大別されます。
元来の意味での「水滴」は、二つの水孔があり、使い方にコツがあります。水滴に水を入れて上部にある風穴を指で押さえ、角にあるもうひとつの穴を下にして傾けても水は出てきません。抑えている指をゆっくりゆるめると、水が一滴ずつ出てきます。水滴は、微妙に出る水を調節することが可能で、持ち運びが容易で、少量の水を長時間保存するのに適しています。
小さいサイズが多く、壷形、箱形、人物、動物、花など様々な形があり、硯箱に収められているもののほとんどがこの形の水滴です。
「水注」とよばれる水指形の水滴は、把手があり、注ぎ口が大きく水を入れる容量も多く、水を連続して注ぐことができるので、主に大きな硯に用いられます。
水注の形状には、把手がつるになった土瓶形、口に蓋のある急須形などがあり、また、水鳥など動物をあしらった面白い意匠の作品も多くみられます。
「水丞」は、胴がふくらみ、口がやや狭くすぼまっているものを指し、主に匙で水を汲み硯に注ぐのが特色です。水盆形、椀形、桶形、朝顔形など様々な形のものがあり、酒杯などから転用されたものも多く見受けられます。
様々な造形や意匠のある水滴は蒐集している愛好家も多く、いわの美術でも、買取に力をいれています。
水滴には色々な種類や形がありますが、上記にあげた以外の水滴としては、水滴単体としての用途だけでなく、筆洗や筆覘、筆立、文鎮などの複合した多目的な水滴も多くみられます。また、蟾蜍という中国の古代神話に出てくる月に住むという三本足のヒキガエルを模した水滴は、龍や獅子などと並んで中国では吉祥な象形として、水滴の意匠に好んで用いられたそうです。
水滴は、銅・鉄・錫などの金属、瀬戸・古伊万里などのやきもの、朱泥、玉などで作られるものが多く、安価なものから高価なものまで様々であるため、買取査定額にも幅がありますが、特に中国李朝の時代の水滴は稀少価値が高く、高価買取が期待できます。
心を落ち着かせてお気に入りの道具に囲まれて、書道を楽しむ…いわの美術では、水滴だけでなく、お客様が大切になされていた硯、墨、紙、筆などの文房四宝とよばれる書道具や、筆筒、墨床、筆架など書道具の周辺の道具類の買取も行っています。
水滴のご売却なら、書道具の買取実績も豊富ないわの美術にお任せください。