雅楽で用いられる龍笛に対し、篠笛は庶民向けに作られたシンプルな横笛として広まりました。
祭りのお囃子などでお馴染みの、あの心弾む音色は日本人の大切な文化です。
地方によって異なる代々伝承されてきた音色を、絶やさないように匠の技で守りぬいている獅子田ブランドは大変人気があります。
獅子田氏 | 江戸時代末期の笛作りの名人 | - |
---|---|---|
新山氏 | 獅子田氏から獅子田流を継承 | 篠笛製作業 |
初代 中村甚五郎 | 新山氏から獅子田流を継承 |
中甚 (継承して改名) |
二代目 伊東忠一 | 初代の義弟 |
伊東竹管楽器製作所 (継承して改名) |
三代目 大塚義政 | 二代目の娘婿 |
大塚竹管楽器製作所 (継承して改名) |
四代目 大塚敦 | 三代目の息子 |
有限会社大塚竹管弦楽器 (継承して改名) |
元々は江戸時代末期の笛作りの名人である獅子田氏が獅子田流の篠笛を製作したことが始まりで、その後 新山氏、続いて中村甚五郎が獅子田流を継承しています。
中村甚五郎は、新山氏の元で10年間修行をし、大正13年に獅子田流の印を押すことを許され会社を設立し、初代となりました。
二代目の伊東忠一は初代の義理の弟になり、その娘婿が三代目の大塚義政です。
三代目の大塚義政は元々は車の修理業に携わっていましたが、跡継ぎを引き受け笛師になりました。
全部決まっている車と違い、勘に頼る部分が多い笛作りに面白みを感じたようです。
そして伝統を守りつつも、どんな注文も断らず、規格に合わない笛でも見本を送ってもらい忠実に再現しました。
また近年は洋楽と合わせて演奏される機会も増えたことから、洋楽調(ドレミ調)の篠笛も開発しています。
大塚竹管楽器は2014年に三代目の息子の大塚敦に四代目が受け継がれました。
四代目は小学生の頃、二代目の祖父の仕事場で遊ぶような環境で育ち、手伝うとお小遣いも貰えたそうです。
現在は奥様そして先代の父と分担して仕事をこなし、1年に1種類づつモデルを増やしています。
全モデル約80種類という豊富なラインナップは、多様性の現代のニーズに応えており、他の追随を許しません。
昔からの伝統を守り、でもそれだけではなく時代に合わせた新しいことにも取り組み、伝統を作っていく、という意識を大切にしているそうです。
九州から仕入れた青竹の篠竹は、節間を切り出し天日干しの後、伸縮が落ち着くまで最低2年以上、上物は5年以上寝かせます。
注文に合う竹がない場合は2年待ってもらうこともあるそうです。
篠竹の太さ、長さなどによって音の調子が違うので『何本調子』という呼び方でサイズを選別します。
大塚竹管楽器では現在、一本調子~十ニ本調子を製作しています。
一本調子が一番太く長く、調子が上がるごとに半音高くなり、より細く短くなるのが特徴です。
穴あけは、息を吹き込む『歌口(うたぐち)』と、『指孔(ゆびあな)』が6孔か7孔の物が基本で、それぞれ『六つ孔』『七つ穴』と呼ばれます。
管頭と呼ばれる篠笛の頭の部分を閉じ、管の内側を塗装し、管まわりに漆や籐を巻く籐巻(とうまき)を施して完成です。
全て手作業で60以上の工程を経ており、これは江戸末期から代々受け継がれてきた伝統の技法です。
篠笛は元々は庶民向けの安価な物であったので、龍笛などに比べると買取価格は下がります。
今回お買取りの篠笛のように数が揃っているセットの場合、査定額が期待できそうです。
また、近年の獅子田は高級篠笛も制作しており、煙乾燥を施した『燻煙』や『彫込』『本漆塗』『蒔絵』『かざり金具』『スジ彫』などの装飾がある場合も評価が上がります。
藤巻も装飾であり、多く巻かれているほうが価格が増し、無し・両巻・半巻・総巻の順で増えていきます。
そして価格に大きく影響するのは、使用頻度やダメージなどの篠笛の状態です。
篠笛は使用する為に求める人が多いので、割れなどの破損は大きく価格を下げてしまい、場合によってはお買取りが難しくなります。
付属品も重要で、専用ケースや笛袋などの付属品をお持ちの場合は、プラス査定になりますので必ず一緒に査定にお出し下さい。
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今回お買取りした獅子田の篠笛は、両巻で七つ穴の四本調子~十三調子で、現在は制作されていない貴重な十三調子を含んでいます。
ケース付きで状態も良かったので高価買取となりました。
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