写真のお品物は、以前いわの美術でお買取りいたしました、瀧口政満の木彫り作品「フクロウ」です。
阿寒湖湖畔でアイヌの木彫りに触発され彫刻を始めた瀧口政満は、湖畔に打ち上げられた流木などを使い自然そのままの木の木目を活かした作品を得意としています。
瀧口政満(たきぐち まさみつ)は1941年に満州の奉天(現・中国瀋陽)に生まれましたが、3歳の時に患った肺炎の高熱で難聴となり、東京教育大学教育学部付属のろう高等学校を1960年に卒業しました。
22歳の時、一人旅で訪れた北海道阿寒湖畔の土産物店で、大木にノミをふるい熊を彫るアイヌの青年に出会ったことから彫刻に魅せられます。
1967年に阿寒湖畔に移住し、阿寒湖に打ち上げられる木を材料に、それぞれの木目を活かして野生動物の彫刻を制作しはじめました。
瀧口政満はアイヌ人の木彫りに惹かれるとともにアイヌの伝統文化を尊重しながら吸収し、自然を崇敬する姿勢も自身のものとしていきます。
自然が与えた木一つひとつに個性があり、その木目が活きる作品を考えることから制作がはじまり、木の声を聞く彫刻家とも呼ばれ、特に写真のお品物のように木目をフクロウの目として捉えそこから構想されたシマフクロウの作品は瀧口政満の代表作となっています。
シマフクロウは北海道東部のみに生息し、アイヌの伝承物語にも多く登場し雄大な自然を象徴する神「コタンコロカムイ」と呼ばれ、アイヌの自然崇拝文化を象徴する存在と言えます。
シマフクロウなどの野生動物のほか人物の作品も制作しており、動物は自然の畏怖を感じさせるような猛々しさがあるのに対し、少女像などの人物は柔らかなラインと自然に溶け込むような存在感が特徴です。
瀧口政満は移住者でありながら1987年に釧路新聞社芸術賞を受賞、1989年に北海道ろうあ連盟福祉大会文化賞など、北海道で功績を称えられ、1991年には厚生大臣賞を、2000年に北海道アイヌ伝統工芸展で北海道知事賞を受賞しました。
阿寒湖畔でアトリエ兼自身の作品を展示販売するお店を経営し2017年に逝去しました。
現在も鶴雅ホテルに多くの作品が展示され、2001年にはホテル内に鶴雅ギャラリーが作られ、多くの作品が散逸せず保存されています。
瀧口政満の作品は中古市場に出回る事が少なく、希少なお品となっております。
写真のお品物は瀧口政満の代表作ともいえるシマフクロウで、簡潔で鋭い眼鼻の造形と豊かな毛並みの細やかな描線が、ニレの埋もれ木の質感に活かされている逸品です。
作品本体の状態もよく、底面に直筆で作品名や署名もあり高評価にてお買取りいたしました。
いわの美術では美術品・骨董品を中心に幅広くお買取りしており、彫刻作品も多数のお取り扱いがあり瀧口政満作品も過去にお買取り実績がございます。
専門の査定員が拝見し、市場を鑑みた最高値をご提案できるよう尽力しております。ご自宅やご実家、別荘や倉庫、蔵などのお片付けにて、ご売却をお考えの瀧口政満作品がございましたら、ぜひ、いわの美術へご相談くださいませ。
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