こちらはいわの美術でお買取りした蝙蝠桃花唐草文堤籃です。
漆芸が美しい二段重は持ち運びできるように取っ手が付いた茶道具であり、堤籃(ていらん)と呼ばれています。
蓋に描かれている桃を咥えたコウモリは中国では『寿福』を意味する縁起の良い文様です。
提籃は中国から伝来した煎茶道具で、花婿が料理の詰まった提籃を持参して花嫁を迎えに行ったことが始まりという説があります。
提籃は主に茶道具を入れて運ぶケースとして、野外で茶を楽しむ文人の間で愛用されてきました。
持ち運び目的であったので軽量な竹籠が多く、実用品の他、緻密な竹細工や彫刻、今回お買取したお品物のように漆を施し趣向を凝らした物もあります。
現在の中国では精巧な提籃は作られておらず、芸術的な提籃は中国古玩(骨董品)頼みです。
日本には中国から煎茶が伝わった時に一緒に渡来し、野外での喫茶や野点などで重宝されたことから制作もされるようになりました。
さらには提籃を漆や蒔絵で豪華に飾った大名向けの弁当箱として『堤重(さげじゅう)』が誕生し、後に庶民の間でも花見重や野弁当として活躍し、『堤重』の他に『堤重箱』『手堤重』とも呼ばれています。
現在では制作されることが少なく、こちらも良いお品物は中古市場頼みとなっています。
蝙蝠(ヘンプク=コウモリ)と桃の組み合わせは、中国では人気の文様です。
蝙蝠の『蝠』が『福』の字と似ていてかつ同じ発音であることから幸福の象徴として扱われ、さらに蝙蝠は『偏福(ヘイプク)』という福が偏り来るという言葉にも似ています。
その蝙蝠が不老長寿の象徴である桃を咥えて飛んでいる、というのは長寿と幸運を兼ね備えた『寿福』を意味する大変縁起の良い組み合わせです。
そして魔除けの力があるとされる紅色で蝙蝠を描き、そのうえ『紅』は『洪』と同音であることから福(蝙蝠)で溢れる(洪)の意味がある他、紅い蝙蝠は媚薬になるという説もあり、まさに幸福尽くしの文様ですね。
日本でも中国からの影響で長い間コウモリを良いイメージで捉えていたところ、明治中期にコウモリは不吉の象徴という西洋の考えに感化されコウモリ不遇の時代もありましたが、現在は多様化の時代を迎え良い物は良いと再認識されている文様です。
いわの美術では堤籃・堤重を探しています。
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