写真のお品物は、石黒政美による鍔「花鳥之図」です。赤銅石目地に金銀色絵の象嵌が施され、表裏両面に異なる図柄が描かれています。表面は上方から左へ梅の花の枝と鶯が広がり、右から下部に孔雀と牡丹が広がる豪華な春の絵が描かれ、裏面には表面から続く梅の木の幹の重厚さ、流水の流麗な構図となっており、金工の技巧を尽くした石黒派2代目の名品といえます。
刀装具とは刀剣が入っている拵に付属する部品すべてを指し、時代の流行に合わせ様々な変化がありました。廃刀令までの長い間実用品であった刀装具も、現在は貴重な古美術品です。その一つである鍔は、簡潔な小さい形のなかに技巧を凝らし、工芸と絵画両方の魅力をもつ、現在も蒐集家の多い古美術品の一つです。
石黒政美は安永3年に生まれたとされ、寿岳斎・寿霍斎また寿翁斎・寿翁などの号で活躍した装剣金工家です。最初に佐野直好に入門した後、初代石黒政常に師事し、双方の師から一字をとり好を美に変え、政美と名乗るようになります。薩摩藩主島津家のお抱え工として江戸藩邸に住み、師が開祖となった石黒派にて数々の名品を残しながら弟子の養成にも努め、日本金工美術史の巨匠の一人となりました。
石黒派は、横谷派に属する柳川派の加藤直常とその師柳川直政に師事した石黒政常が開祖となったもので、横谷派の流れを汲んだ写実的な花鳥図を得意としました。片切り彫りの鏨使いと、高彫りに色絵を施した絵画のような表現が特徴で、とくに猛禽類の描写は他の追随を許さぬ得意分野です。
石黒派は1868年に没する3代目石黒政常まで100年余り続き、横谷派に続く町彫りの世界で江戸後期に金工美術の名品を多数生み出しました。
いわの美術では古美術・骨董品のお買取りをしており、刀剣ならびに刀装具もお買取りの実績がございます。ご実家やご自宅の整理で手放される刀剣類がございましたら、刀装具の有無もご確認されることをお勧めいたします。
刀剣に比べ小さなお品物ですが、金工美術の重要な作品が多く、また保存に場所を取らない特性からも人気が高く、状態の良いお品・作家などにより高値でのお買取りが期待できます。
古い時代の刀装具は桃山期以前のお品も古美術市場で散見されるものの、時代考証の真偽が難しいと言えますが、江戸後期から明治以降の現代作家のお品物は比較的新しく、保存状態も良いお品物が多く、中古市場でも多数お取引がございます。
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