写真のお品物は、いわの美術でお買取りしましたロンジンのウルトラクロンです。
ロンジン社はスイスの老舗時計メーカーで、1879年に初めて秒針つきクロノグラフの製造を開始するなど革新を続け、現在も機械式時計で人気のブランドとなっています。
現在150か国以上に販売店をもつロンジン社は、老舗ブランドの多い時計メーカーの中でも長い歴史と伝統を誇り、エレガントでいてパフォーマンスの高い時計で知られています。
ロンジン社は1832年、時計販売店に勤務した創業者・オーギュスト・アガシの創立したアガシ商会を起源とし、当時は家内工業での製造でしたが、巧みな経営手腕でアメリカ大陸にまで販売網を伸ばしました。
2代目である甥のアーネスト・フランシロンは、1866年に複数の製造工程を1か所で行える工場をシュズ川右岸のロンジン地区に開設し、工場制工業の製造体制を整えます。
この頃社名を「ロンジン」と改称し、スイスの小さな村であるサンティミエに拠点を据え、事業規模が拡大してからも変わらずに現在まで操業を続けています。
同年のパリ万博でロンジン最初の懐中時計「キャリバー20A」が銅メダルを受賞し、その後も数々のコンクールや万博で受賞を重ねながら名門時計メーカーとして知名度を上げていきました。
19世紀後半から20世紀にかけての技術革新の時代、より正確な時間を知る需要が大きく高まり、時計業界も大きく躍進しロンジンも1930年代まで生産拡大を続けます。
1896年のギリシャ・アテネで開催された近代初の第一回オリンピックの公式ウォッチに採用されると、スポーツ分野でのタイムキーパーとしても信頼を獲得、また高性能・高品質の機械式時計は多くの探検家にも愛用され、数々の新記録を刻んできました。
クロノグラフの起源は古く、18世紀に外洋航海のため生まれた航海用クロノメーターを元にして、19世紀に入りルイ18世の競馬の正確なタイムを知りたいという要望に基づいて初めて制作されました。
その後、鉄道の発達、自動車や航空機の誕生で時間の重要性は増し、第一次世界大戦で腕時計の需要が高まり、第二次世界大戦では航空機用として進化を遂げます。
1950年代後半から1960年代にかけてのスイス時計業界では、両回転式巻き上げ・自動巻きムーブの開発ラッシュとなり、マニュファクチュール(自社一貫製造)を誇るロンジンも波に乗る形で1968年にムーブメント「Cal.431」を発表しました。
ウルトラクロンはcal.431を搭載した初のモデルとして1967年に発表され、1970年代にかけて生産された、ロンジン社の技術が結集したモデルと言えます。
ムーブメントは振動数の多寡で分けられ、Cal.431は当時最高の毎時36000振動(毎秒10振動)というハイビートを誇り正確さ・精密な技術力が武器となりました。
その後、腕時計業界は安価で大量生産可能なクォーツ時計の登場で、それまでの機械式高級時計は打撃を受け多くの時計メーカーが倒産するなど深刻な余波が広がります。
しかし1980年代後半には再び脚光を浴び、ロンジンもスウォッチ傘下入りマニュファクチュールからETAムーブメントを採用するエタブリスールへと変貌しますが、変わらずエレガント・高品質でいて中価格帯を維持し、男女両方の製品で人気を得ています。
アポロ11号の月面着陸が成功する1969年周辺の時代は、時計においても月への宇宙飛行に耐えるテストに名門時計ブランドが挑み、技術革新の進んだ時代でした。
ロンジン社も例外ではなく、高圧・低圧、150度の急激な温度変化など過酷な環境テストを重ね、オメガ社と並んで最終選考に残るほど健闘します。
1967年に生産が開始されたロンジンのウルトラクロンは、機械式クロノグラフのひとつの頂点といえる時代に生まれ、腕時計の主流がクォーツに移り多くの時計メーカーが苦戦した1970年代においても生産を続けた人気モデルです。
生産終了から40年ほど経過した現在も、名作時計としてビンテージ時計愛好家に支持されています。
いわの美術では美術品・骨董品を中心にお買取りを行っておりますが、ブランド腕時計・高級腕時計も対象としております。
ロンジンのウルトラクロンをはじめ、これまでにピアジェ、ジャガー・ルクルト、ランゲ&ゾーネ、リシャール・ミル、ロレックスなど、多岐に渡るブランドの査定とお買取りを行ってきました。
お品物は専門の査定員が拝見し、オークション落札価格など中古市場の相場を鑑みた、最高値をご提示できるよう尽力いたします。
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