茶道具には数々の種類があります。茶碗をはじめ、茶杓(ちゃしゃく)や茶筅(ちゃせん)などよく見かける道具にも、点前(てまえ)の種類や季節などによって違いがあり、道具の作者によっても使用する素材、色や絵、形などが異なります。
これらの茶道具には、ただ点前で用いるだけでなく、一種の美術品として扱われているものも少なくありません。
今回は、数多くある茶道具の中で代表的なものの種類や名前、使い方をご紹介します。茶を嗜む準備、また茶道具鑑賞の入門として、必要な諸道具の知識を身につけましょう。
茶を飲むための器です。唐物、朝鮮物(高麗物)、国焼物(和物)に分けられ、天目形、椀形、杉形や沓形などがあります。
季節によって使い分けられており、深さのある茶碗は茶が冷めにくいため冬用として、浅い茶碗は茶が冷めやすいため夏用とされています。
薄茶器とは薄茶を入れる道具です。主に「なつめ」と呼ばれる丸みのあるものが用いられ、漆塗のものが一般的です。この名はなつめの実に形が似ていることからつけられました。他にも円柱形の「中次」や蒔絵が施された茶器があります。
薄茶器や濃茶入れに入っている茶をすくう道具です。茶杓の先端を用いて茶をすくいます。
茶杓の素材には、木材の他、竹や象牙が用いられます。20cm程度の長さの茶杓が多く、作者の銘が書かれています。
使用した後は、劣化を防ぐために乾いた布で拭くようにしましょう。水洗いは禁物です。
茶筅は、茶を点てる際に使う道具です。主に竹で作られています。穂の荒い茶筅は濃茶、穂の細かい茶筅は薄茶用として用いられます。
穂の荒い茶筅と比較して穂の細かい茶筅は穂の数が多く、初心者の方におすすめです。
茶筅の使い方ですが、茶碗の中で「の」の字を書くように素早く点て、手前から引き揚げることがポイントです。また、点てる際は茶碗の痛みや穂の折れを防ぐため茶碗の底を強くこすらないよう気を付けましょう。
使用後は穂の部分を水またはぬるま湯で洗います。茶筅を痛めてしまうため、洗剤の使用は避けましょう。また、収納する場合はカビの発生や傷みを防ぐため、濡れた穂が完全に乾燥してから収納するようにします。
茶釜は茶に用いる湯を沸かすための道具です。風炉は茶釜の下部に置いて火にかけるための炉で、涼炉(りょうろ)ともいいます。茶釜は鉄製が多く現存しているものが多いものの、風炉は素焼きで火を使う道具という性格上、破損のない状態で現存しているものは少ないといわれています。
湯や水を汲む際に用いる道具です。湯や水を溜める「合」、持ち手となる「柄」から構成され、人差し指が節の部分にくるように持ちます。
柄の端の部分は「切止」と呼ばれ、切止の切方によって炉用と風炉用に分けられます。合を伏せた際に切り口が見えない種類が炉用の皮切り、切り口が見える種類が風炉用の身切りです。
煎茶道では湯こぼしとも呼ばれる建水は、茶碗や茶筅をすすいだ湯や水を捨てるための器です。唐銅、砂張、陶磁器、木地物の建水などがあります。建水は格が低いとされ、点前の際は客から最も見えにくい位置で使用されます。
一般的によく見かける茶道具も、使用する場面によってさまざまな種類が存在します。茶道を嗜むためには、まず諸道具を一つ一つ理解することが大切です。
今回は、代表的な茶道具の名前や種類、使い方、保管方法についてご紹介しました。茶道を長く深く楽しみたい方も、より高額での買取を希望する方も、今一度素材や作りの部分に目を向けてみてはいかがでしょうか。
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