大西博とラピスラズリ

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大西博とラピスラズリ

大西博とラピスラズリ

大西博とラピスラズリ


大西博は1961年6月18日生まれ、徳島県池田町出身の画家です。

大きな作品が多い大西博ですが、コレクターをうならせるラピスラズリをふんだんに塗った小品や、高橋由一へのオマージュと思しき「鮭図」、魚と女性が戯れるブルーを基調とした小作品を遺していました。





大西の大作は青をベースに樹や山並みの影を描く作品が多いのですが抽象表現主義の影響を受けた作品も遺しています。




いわの美術では大西博の絵画を査定・買取りしております。

いわの美術は茶道具をはじめ現代アートのコレクションをされていた方もご利用いただくことができます。




大西博の大作の絵画は青で統一され、深みのある茫洋とした枝の影が広がった画風が代表的で、他の者には真似ができない下地作りを極め、薄く溶いた青の顔料を丹念に40回から80回塗り重ねて作られた絵画は見るものの心を落ち着かせます。





大西は、鉱石の一種であるラピスラズリを用いた青の絵画に到達する前には壁画技法を身に着け、企業と協働して駅ビルの壁にも画を描いていたようです。大西がラピスラズリと出会ったのは 2003年、東京藝術大学においてアフガニスタン文化支援調査団員に任命され、カブールへ赴いた際にラピスラズリの原石を発見し、壁画など伝統的な絵画の原材料として蘇らせようと研究を重ねました。




東京藝術大学の美術学部油画専攻において教鞭を執っていた大西は、西暦14世紀のイタリアの画家チェンニーノ・チェンニーニが開発した「ウルトラマリン」の顔料を生成し、絵具に加工して描く技法を学生に直に教授しました。

大西は絵具メーカーと協働で絵具を開発し、14世紀の記録から、ラピスラズリを原料にウルトラマリンブルーの顔料を精製する複雑な技術を現代に復活させ、質の高い絵の具を完成させました。



大西博の初期の画業

大西博は1961年6月18日生まれ、徳島県池田町出身の画家です。3歳より大阪で育った大西が最初に出会った絵の師は市川加久一という画家で、市川はまだ幼かった大西の才覚を見込んで洋画の基礎を教え込みます。同時に1970年の大阪万博は大西が西洋文化に触れるきっかけとなった博覧会でした。

大西は12歳の時に家族と共に東京に転居して1983年に東京藝術大学に入学、1987年に同大学を卒業しました。20代の時期の大西の作品にはルネサンスの影響が色濃く現れ、 アルブレヒト・デューラー(Albrecht Dürer)やマティアス・グリューネヴァルト(Matthias Grünewald)の技法と、人間の身体の描写を研究していたことがうかがい知れます。




初期の大西博の作品世界は魚や水を描き、妖精のような神秘的な人物像に込めて描かれたものが中心になっています。大西の卒業制作の「鯨」はルアーを片手に持った女性モデルの冷たい肌の質感と西洋的なプロポーションの骨格を描き切り、一貫してルネサンスの美術を研究した成果が現れたことが高く評価され、大和証券が買い上げました。







この当時の大西の自画像は青のバックを背景に、ピエロのような飾が多い帽子を被って頬を膨らし、魚のように見えるポーズをとっているという幻想的な表現を一貫しており、豊かな色遣いをしていました。







ラピスラズリの茶席 

大西博が手がけた茶道具の室来に見る東西の融合

ドイツに留学をしたことから、大西博は日本人としての自分自身のアイデンティティを追求し始めます。油彩、フレスコ画から和紙の上に描く水墨画を中心とした、日本画の技法で、広い空間を感じさせる絵画の世界観を作っていきました。



大西博は生前、自らが精製したラピスラズリの顔料を塗布して焼き付けた茶器や茶道具を揃え、ウルトラマリンブルーに統一した茶道具で茶席を設けています。東京藝術大学、新潟県妙高市の赤倉温泉、根津美術館の3か所で「幻」を主題とした茶会を開いており、その茶会の幽玄さや、和気あいあいと愉しまれた雰囲気が、妙高市赤倉温泉のHP内「絵見るドットコム」の過去の記録にのこされていました。



大西博の掛物は、まるで幅広の反物のように垂れ下がり、風炉先にもラピスラズリを用いた風景画が描かれており、レオナルド・ダ・ヴィンチの「スフマート」という空間を描く技法と、茶の湯の禅の心が豊かに重なり合ったものでした。大西博が若くしてこの世を去った後、これらの茶道具や大西博の絵画は夫人がすべて所有しているため、東西の文化を考える特集展示のような機会があれば拝見することもできるかもしれませんね。


大西博 展覧会一覧

茶会

  • 2007年 藝大茶会(東京藝術大学:東京)

  • 2008年~2010年 茶会(妙高赤倉温泉:新潟)

  • 2010年 松園会茶会(根津美術館:東京)

個展

  •  1989年 銀座スルガ台画廊(東京)

  •  1990年 銀座JBCギャラリー(東京)

  •  1994年 ゴールドファイル(ニュルンベルグ)

  •  1998年 ギャラリー福山(東京)

  •  1999年 不二画廊(大阪)

  •  2000年 横浜ガレリアベリーニの丘ギャラリー(神奈川)

  •  2002年 ギャラリー毛利(東京)

  •  2005年 ギャラリーオープンドア(東京)

  •  2011年 表参道画廊(東京)

  •  2012年 東京藝術大学大学美術館陳列館(東京)

グループ展

  •  1987年 東京藝術大学卒業制作展(B.F.A)

  •  1989年 東京藝術大学修了制作展(M.F.A)

  •  1993年 グローセクンスト展(ミュンヘン州立近代美術館:ドイツ)

  •  1994年 シーボルトと日本展(シーボルト財団、ビュルツブルク:ドイツ)

  •  1996年 ドロホップ研究室展(シュバーバッハ:ドイツ)

  •  1997年 東京藝術大学所蔵名品展(東京・大阪・名古屋・京都)

  •  1999年 回廊の中心にて(横浜ガレリアベリーニの丘ギャラリー:神奈川) Stop Over 展(ニュルンベルグ美術大学:ドイツ)

  •  2002年 NEW‘S展(東京藝術大学大学美術館:東京)

  •  2003年 芸術工房塾展(妙高赤倉香嶽楼:新潟)

  •  2004年 不二画廊、テオ画廊日韓交流展(テオギャラリー:釜山・韓国)

  •  2005年 Reflex. 黄金背景テンペラ模写と現代における展開・構築 (東京藝術大学大学美術館: 東京) 同心共存展(韓国工芸館:青州・韓国)

  •  2006年 三史展(PICIギャラリー:ソウル・韓国)水上伝説(水上・水紀行館:群馬) 日韓交流展(Changwon Gallery: 昌原市;韓国)

  •  2007年 油画の具展(東京藝術大学大学美術館:東京)日韓交流展(京都市文化博物館: 京都)

  •  2009年 層と内景(表参道画廊:東京)

  •  2010年 逸 ITSU ― Japanese Paintings beyond Tradition (ヒルサイドフォーラム: 東京) SOFA (Park Avenue Armory: ニューヨーク)

  •  2011年 表参道画廊:東京「SIX ESPRITS - 西から」(ギャラリーエム: 長崎) 「伝統 現代 発生」ドローイング展 (東京藝術大学大学美術館:東京) 「鷹見明彦先生のオマージュ展」 (表参道画廊: 東京)

  •  2013年 豊福先生の教室陶芸展 (東京藝術大学大学美術館: 東京)

  •  2014年 「見ること、描くこと」 東京芸術大学油画技法材料研究室とその周緑の作家たち (東京藝術大学大学美術館: 東京)

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