日本刀は武士の魂を伝えると共に、往時の工芸技術や美意識の結集でもあり、武具と美術品の両方の性質をもち近年注目度が上がっているお品です。
著名な刀工による名作は名立たる武将のもとを転々とした来歴を持ち、共に日本の歴史を作り出してきました。
刀身の長さや形状、造られた時期などにより分類され、加えて刀装具にも様々な美術的技巧が凝らされた名品が多く、日本の工芸美術史の重要な分野と言えます。
刀剣の歴史は古く、神代(かみよ)と言われる古墳時代以前から確認されており、上古刀と呼ばれています。
上古刀は反りがない両刃の剣で「日本刀」とは区別されます。現在「日本刀」に定義される反りのある湾刀は平安時代初期に出現し、武家社会が勢いを増す平安後期により生産が活発となりました。
日本刀の時代区分は大まかに古刀・新刀に分かれますが、さらに下記の分類が一般的となっています。
古刀(806年~1595年、大同元年~文禄4年)
新刀(1596年~1803年、慶長元年~享和3年)
新々刀(1804年~1867年、文化元年~慶応3年)
現代刀(1868年~、明治元年~現在)
古刀に分類される時代は長く、平安・鎌倉・室町・戦国と非常に変化に富んだ時代を経て、戦法とともに甲冑の形態が変化した事と同様に日本刀も姿かたちを変えてきました。
太刀
平安時代後期頃に完成した、最初の日本刀の様式です。
刃を下に向け太刀緒に下げて腰に佩き、体の左側に来る部分に銘が入れられます。
上古刀と異なり反りが高く、刃長は2尺3~6寸(70-80cm)と日本刀の中でも大きいことが特徴です。
太刀は主に馬上戦で使われ、さらに3尺以上のものを大太刀・2尺に満たないものを小太刀と分化しました。
刺刀
鎌倉時代に歩兵の主要武器であった薙刀が使えない乱戦時や、薙刀を失った時などの予備として脇差と同じ役割を果たし、やがて長くなり打ち刀へ発展していきます。
刺殺武器としての刺刀は反りがなく重ねが厚い「鎧通し」の短刀に発展します。
打刀
室町時代ころから太刀に代わり、実用から外れた太刀は儀式用へ転じます。
刃を上に向け腰に差し、歩兵戦が主流となった為、小回りがきくよう太刀より短い2尺以上(60cm)に進化します。
一般に日本刀といったときに示す形状は、打刀であることが多いです。
脇差
打刀・太刀のうち長さが2尺に満たない物をいい、足利義政の暗殺をきっかけに室内戦闘用の短刀需要が高まり、室町時代に生産が盛んとなりました。
ここで初めて打刀・脇差をセットにした二本差しが主流となります。
以上のように時代・長さが種別を判定する手がかりとなるものの、古い刀は伝来過程で磨り上げ〔すりあげ〕られ、扱いやすいように長さを短く変えられたものが多く、とくに大太刀は現存するものが殆ど無いと言われています。
日本刀の3要素「折れず・曲がらず・良く斬れる」を兼ね備えるため、作刀には原材料を厳しく選定し、鋼の製法、鍛鉄は専門の鍛冶職人によって古来より工夫が重ねられてきました。
刀工は刀鍛冶とも呼ばれ、古くから農具などを鍛鉄する野鍛冶と区別され専業で刀の製法を伝承してきました。
代表的な流派は発生順から大和伝・山城伝・備前伝・相州伝・美濃伝の五ケ伝に分かれ、その中でも五郎入道正宗に代表される相州伝は高い人気を誇っています。
相州伝は新藤五国光が創始し、五郎入道正宗が地景・金筋・沸をより強調した作風に仕上げました。ほかに正宗十哲・貞宗三哲の刀工が名刀を多く残しています。
要ご確認を、刀剣の登録証
ご親族の残された刀剣を発見された場合、まずご確認いただきたいのが登録証です。
銃刀法によって所持するにも登録の義務があり、万が一先祖伝来品などで登録が無い場合は、すみやかに居住地域の警察署に届け出が必要となります。
また、登録書はあるものの所有者が変わる場合にも名義変更が必要となり、登録済みの刀剣登録に関しては地域の教育委員会の管轄となっています。
運搬時にも銃砲刀剣類登録証の携帯が必須となりますので、ご売却・譲渡で持ち出す際はご留意ください。
刀剣は刀工により評価が大きく変わることから、過去に真偽が操作されたり正しい評価に基づく売買が成されないケースなどもあり、正しい鑑定が必須となります。
銃砲刀剣類登録書は刀身の情報を記載するのみで、これは鑑定書にはあたらず、在銘の真偽を判断することなく登録されているので注意が必要です。
日本刀の真贋鑑定・保存振興を担う、公益財団法人 日本美術刀剣保存協会により発行された保存刀剣鑑定書の添付がある場合、またはさらに上位となる特別重要刀剣・重要刀剣・特別保存刀剣鑑定書・指定書の添付があれば、真作といえます。
・袋や箱など付属品は捨てない
・購入時期・金額など入手経路は重要。
・銃砲刀剣類登録証 必須
・刀身に錆や破損があってもそのままにして売却
…研磨には高度な専門技術を要し、素人が研磨した場合、刀剣の価値を損ねる可能性があります。
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