掛け軸とは、書や日本画をはじめ、中国や朝鮮などの東洋画を美しい紙や生地で軸装し、壁などに掛けて飾れるようにしたものを指し、掛け物とも呼ばれます。一般のご家庭でも、和室の床の間などに調度品として飾られていることも多いでしょう。
ご自宅の建て替えや模様替えなどで不要になった掛け軸がある場合、簡単に処分してしまうことは早計かもしれません。実はその掛け軸に、歴史的・美術的な価値があるかもしれないためです。
今回は、骨董品買取店での掛け軸の買取価格・相場についてご紹介します。
骨董品買取店で掛け軸を査定する際に、まず注目する点は掛け軸自体の状態です。美術品としての価値が見込めるものであっても、破れやシミ・汚れなどで著しく損傷しているものは買取できないケースが出てきてしまいます。
ただし、小さなシミや傷であれば修復できる場合もあるため、まずはあきらめずに持ち込んでみましょう。また、掛け軸の場合は元の書や絵画の部分さえしっかりした状態であれば、表装の部分に傷みがあっても、表装のみの修復で解決できることがあります。
掛け軸の買取相場を左右する要素の1つに、「作家の人気度」があります。掛け軸作家の人気は、愛好家の間での流行によっても変動することがあり、ちょうど「今この作家が旬」といわれているタイミングであれば、思った以上に高い査定価格が付けられることもあるでしょう。
作家が分かっている掛け軸は、まず骨董品買取店で査定してもらうことがおすすめです。「今はこれぐらいの買取価格になるが、ちょうど人気が高まりつつある作家の作品のため、もう少し待つともっと価値が上がるかもしれない」などのような、アドバイスをもらえることもあります。
日本で作られた美術品は、最近海外でも人気です。特に、日本の書や日本画の掛け軸は、中国やインドなど、アジア圏の富裕層に高価で買い取られるケースが増えています。
したがって、外国人の掛け軸コレクターに受けが良さそうなものであれば、海外と取引関係のある骨董品買取店で高値が付くこともあるでしょう。
ただし、現在のこの状況は、中国をはじめとするアジア圏の急成長がもたらすバブルのような現象と考えられており、必ずしも安定して長続きする保証があるとは言い切れません。
掛け軸の査定に関するポイントとして「贋作(模写・偽物)の多さ」も、よく挙げられます。骨董査定をテーマにしたTV番組などでも、掛け軸は鑑定の結果贋作であることが判明するケースが特に多いジャンルです。また、箱や作品に関する素性を記した書類などを紛失してしまっているために、本物であると鑑定できないことも少なくありません。
ご自宅の掛け軸に書類や箱が付属している場合は、別々にせず必ず大切に保管し、査定する際にも一緒に持ち込むようにしましょう。
今回は、骨董品買取店でも特に人気の高いジャンルである「掛け軸」の買取査定のポイントについてご紹介しました。
掛け軸は陶器や彫刻などの骨董品と異なり、紙や生地で作られているため、一般の絵画と同様に、保存状態の良しあしも買取価格に大きく関わってきます。ご自宅にある掛け軸をまだ買取に出す予定がなくても、手放す際の価値を考えて可能な限り良い保管状態を保っておくと良いでしょう。また、箱や書類などの付属品も必ず一緒に保管するようにしてください。
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