ジェラルド・ジェンタ(Gerald Genta S.A.)は、史上最強といわれた天才時計デザイナー ジェラルド・ジェンタ(Gerald Genta 1931~2011年)が1972年創業した時計ブランドです。
ジェラルド・ジェンタは、1979年にジュネーヴスタンプの刻印を認められ、1980年代以降はグランソヌリなどの数々のコンプリケーション・ウォッチ(複雑時計)を発表して名声を得た、神とも呼ばれた時計デザイナーです。
自身の名を冠した時計ブランド「ジェラルド・ジェンタ」においては、ミッキーマウスなどのディズニーキャラクターをデザインした時計で有名ですが、ブルガリなど高級時計メーカーへもデザイン提供し、成功を収めたことでも知られています。
ブランド名にもなっている時計デザイナー ジェラルド・ジェンタは、スイス・ジュネーブにて1931年イタリア系の両親の間に生まれました。
ジェラルド・ジェンタは、15歳の頃よりジュエリーデザイナーを目指し、学校で彫金を学びましたが、スイスにはチョコレートと時計産業でしかデザイナーの仕事は無く、宝石のクチュリエデザイナーとしての就職先はひとつもありませんでした。彼はジュエリーの世界に失望し、フリーランスのウォッチデザイナ―として生きていく道を選ぶこととなりました。
そんなジェラルド・ジェンタに転機が訪れたのは、1968年の頃です。彼の時計デザインが、ジュネーヴのデザイン賞を獲得したのです。これを機にジェラルド・ジェンタは、自らのデザイン事務所を会社組織に変更し、本格的に時計デザインに取り組むようになりました。
当時、時計デザイナーには、ケース、文字盤、針といった「部分的」な役割しか与えられていませんでした。そんな時代の中、”まったく新しいスポーツウォッチを作る”というコンセプトを持ったオーデマ・ピゲのオファーを受けたジェラルド・ジェンタは、わずか1日でデッサンを完成させました。それが1972年に発表されたブレスレットとケースを一体化したオーデマ・ピゲ「ロイヤル・オーク」です。
このフォーマルにもカジュアルにも使えるロイヤル・オークの前衛的なデザインで、ジェラルド・ジェンタは世界から高い評価を得ました。その後ジェラルド・ジェンタは、多数の時計メーカーからデザインを委託され、成功を収めました。
時計デザイナーの祖といわれるジェラルド・ジェンタは、ロレックス、オメガ、カルティエ、ブルガリ、パテック・フィリップ、オーデマ・ピゲなど超有名ブランドの時計デザインを手掛け、時計史に残る傑作の数々を残しています。
オーデマ・ピゲ「ロイヤル オーク」
パテック・フィリップ「ノーチラス」
IWC(インターナショナル・ウォッチ・カンパニー)「インヂュニア」
オメガ 「コンステレーションC」
オメガ「シーマスタープロフェッショナル 200m」
カルティエ 「パシャ」
ジャラールペルゴ「ロレアート」
ブルガリ 「ブルガリ・ブルガリ」など
ジェラルド・ジェンタの製品は、主にトゥールビヨンやミニッツリピーター、永久カレンダーを駆使した「超複雑ドレッシー系」、クラシカルデザインによるシックな「レトログラード系」、ミッキーマウスやドナルドダックなどディズニーキャラクターをモチーフとする「ファンタジー系」、アクティブさを強調した「スポーツ系」、女性向け「ヴァニティ」の5シリーズに分類されています。
特にミッキーマウスなどのディズニーキャラクターのデザインで有名な「レトロ・ファンタジー(Retro Fantasy)」のラインがよく知られています。
このディズニーキャラクターの夢の世界が表現されたレトロ・ファンタジーは、レトログラード機能と小窓で時間をデジタル表示するジャンピングアワーとのカップリング仕様で、スイス最大の時計ムーブメントファクトリーであるETA社製のベースキャリバーに、独自のレトログラード用のモジュールを組み込んだ複雑な機械を搭載しています。
例えば、ミッキーが手に持つゴルフクラブが分針となったデザインでは、ゴルフクラブが60分に達した瞬間、ゴルフクラブが0分までカチッとフライバックするというファンタジックな世界を表現しています。
その他、ミニーの手が分針となったモデルや、野球帽のドナルドダックのバットが分針となったモデルなど、様々なディズニーキャラクターのデザインがあり、女性だけでなく男性からも根強い人気のラインとなっています。