写真の作品は、島岡達三の『象嵌赤絵草花文壺』です。

　略歴

東京で3代続く組紐師の家で生まれた島岡達三は、高校生の時に『日本民藝館』で見た民芸作品に感動し、陶芸の道を目指す決心をします。

東京工業大学窯業学科に進み、民芸運動の中核メンバーであった濱田庄司を訪れ、卒業後に弟子入りすることも決まりますが、第二次世界大戦により徴兵されてしまいました。

終戦しビルマから生還後にようやく栃木県益子に移住し、濱田庄司の元で民芸陶器を学ぶこととなります。

当時、濱田庄司の弟子になりたい人が多すぎて、修行は3年で卒業と決められていました。

卒業後は学校教材の古代土器の標本作りの仕事を請け負うこととなり、東京大学の縄文土器研究の第一人者 山内清男から縄文文様の付け方を学びました。

その後島岡達三はそのまま益子に留まり、濱田家の隣に独立して自分の窯を持ちます。

しかし濱田庄司に心酔する余り真似た作品ばかりを作っていて、自分を超えて欲しい濱田庄司から「早く自分の個性のあるものを」と日々促されていたそうです。

そんな中、苦悩の末に島岡達三がふと思いついたのが『縄文象嵌』でした。

　縄文象嵌(じょうもんぞうがん)

島岡達三から縄文と象嵌という全く異なった技法を合わせるという発想が生まれます。

縄文は縄文土器の再現の仕事の時に得た知識でした。

そして象嵌は、作品に模様などを刻み込んでそこに他の材料をはめ込む技法で、日本民藝館において島岡達三が関心を寄せていた李朝の三島手から来た技術でした。

加えて生家での組紐も大きく影響することとなります。

形成した作品が半乾きの状態で、父が作成した組紐を転がすと、凹型の立体的な文様が生まれました。

そして全体に化粧土を塗り、乾燥後は表面を薄く削って凹んだ部分のみに化粧土が残ることで、美しい縄目の模様を作り出します。

濱田庄司から陶技と民藝の精神を継承しつつも、この縄文象嵌と独特で温和な雰囲気は唯一無二の存在です。

こうして独自の境地を見出した島岡達三は、師の濱田庄司に続いて自身も人間国宝に認定されました。

　高価買取のポイント

島岡達三の作品は、やはり縄文象嵌が人気で、縄文象嵌の中では縄目の模様が美しい物により良いお値段が付きます。

後はお品物の保管状態や使用状況、作品そのものの出来により価格が変動しますので、査定に出されることがお勧めです。

共箱や共栞などの付属品がある場合はプラス査定になりますので、お持ちの場合は必ず一緒にお出し下さい。

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