弊社でもお問い合わせがよくあるリトグラフ作品。
リトグラフって、見聞きすることは多いものの具体的にどうやって作られた作品かをご存知な方は少ないのではないでしょうか?
どんなリトグラフが高価買取が期待できるかご紹介いたします。
リトグラフとは?
リトグラフとは版画の技法の一つです。
木版絵画は出っ張った所にインクをつけて刷る凸版、銅版画はへこんだ所にインクを詰めて刷る凹版と呼ばれるのに対して、リトグラフは平らな板を使うことから平版と呼ばれます。また、石を利用されていたことから「石版画」と呼ばれることもあります。
リトグラフは、水と油の反発を利用して作品を作り上げて行きます。
工程は、先ず平らな版面(昔は石)の上にクレヨンなどの油性の画材を使って絵を描き、その上に特殊な薬品を塗り込みます。
そうすると、油性のクレヨンで描いた部分は水をはじくので「親油性」になります。それ以外の、クレヨンが付いていない部分は、「親水性」になります。
薬品が乾いたら版面を濡らし、ローラーで油性のインクをのせると、絵を描いた部分は「親油性」なのでインクがのり、他の部分は「親水性」のため油をはじきインクがのらない→色が塗れないということになり絵を完成させていくのです。
凸版画や凹版画のように彫る作業がないので、描いた絵が細かい部分までそのまま印刷でき、短い時間で沢山の作品を作れることから多くの作家が取り入れた技法です。
高価買取のポイントは?
油絵と違って同じ絵が複数枚存在するリトグラフ。
油絵より希少価値が下がるのが一般的ですが、少しでも良いお値段がつく可能性のある作品はどんなものかご紹介いたします。
先ず、リトグラフの買取価格は「作家名」「エディションナンバー」「サイン」「サイズ」「保管状態」などで決まります。
【ポイント1】作家名は重要
中古市場においては、作家に人気があるか否かでリトグラフのお値段は大きく変わってきます。
逆を言えば、リトグラフの出来がいくら素晴らしくても作家に人気がなければ高価買取は難しいといいうことになるのです。
また、有名かどうかが一つのポイントで、誰もが一度は耳にしたことあるような、ピカソやダリ、ヒロヤマガタ、ラッセンなどといった作家が描いた作品は高買取りとなる事が多いようです。
さらに、人気は時期によっても変化します。
近頃ですと、草間彌生、天野喜孝、片岡球子、伊東深水、東山魁夷、藤田嗣治などは安定の人気を誇っているようです。
【ポイント2】エディションナンバー
版画作品には余白部分に「10/150」などの数字が書かれていることがあります。
これはエディションナンバーと申しまして、例えば「10/150」と書かれている場合は、150枚刷られた内の10枚目の作品であるという意味です。
上でもご説明しましたように、リトグラフは版画の一種ですので、版さえあれば同じ絵を何枚も刷ることが出来ます。しかし、絵が沢山出回ると、絵画としての希少価値が下がってしまう為、あらかじめ発行枚数を決めておくのです。
気になるのは、1/150と150/150で価値が違うのかというところですが、
分子の数字が作品の良し悪しや価格には関係しません。
というのも、この場合ですと150枚全部を刷り終えた後に作家がサインとエディションナンバーを入れて行く作業を行う為、分子の新しい番号が刷られた順番も新しいということではないのです。
また、最初に刷られた方が作品の出来が良いということはないそうです。
大事なのは全部で何枚刷られているか!リトグラフの場合版種の特性上200枚くらいが限界で、それ以上は版が痛んでしまう為刷れません。
「○○/何千分」のようなエディションナンバーが記された作品は違う印刷方法では?と疑った方が良さそうです。
【ポイント3】本人のサインの有無
作家本人のサインが直筆で書かれているかも査定に大きく影響します。
サインがあるということは、作家本人が表現しようとしている美術性が認められたものと証明された作品です。
本人のサインがある作品は「オリジナル版画」と呼ばれ、
高い価値が認められます。
サインは完成後に本人が鉛筆などで余白下の右部分に書かれることが一般的です。
作家が亡くなった後にリトグラフが作られることもあり、その場合遺族や著作権保有者、版元の摺師などがサインをしたり、スタンプを押したりすることもありますが、価値としてはかなり低くなってしまいます。
また、作家が有名であればあるほど、偽物(複製)の作品が出回る率は高くなります。
有名画家が油彩画で描いたはずの絵がリトグラフで販売されているなんて事は多々あることです。
ただ、全ての作品が「偽物」というわけではなく、画家や遺族の承諾を得て原画をリトグラフにしたものを「エスタンプ」と呼び、本人が全く制作に関わっていなくとも作品として認められている場合もあるのです。
しかしながら、殆どの作品は価値としてかなり下がってしまうのが実情のようです。
【ポイント4】鑑定書・証明書の有無
前述しましたように、有名作家や人気作家の作品は贋作であることも多々ございます。
最近は印刷技術の発達により専門家の目をしても騙されてしまう事もあるのだとか。
画家がお亡くなりになっている作品ですと、公的な機関で鑑定書が発行してもらえます。また、絵を買われた画廊で証明書を発行されている場合もございます。鑑定書や証明書がある作品は本物であるという証明となり絵の価値も上がってまいりますので、有無をご確認下さい。
【ポイント5】保管状態も大切
有名作家のサインも鑑定証もある作品だとしても、保存状態が悪くカビや色あせが見られる場合は査定額が下がってしまうこともございます。
【ポイント6】現代のニーズにマッチしているか
お問い合わせを頂くお客様の中には、「今、○○という方の作品は号でいくら?」とお尋ねになられる方がたまにいらっしゃいます。
中古市場において絵画の査定はそのような形でお値段をご案内することはございません。
大きい作品が必ず高く査定されるわけではなく、上記ポイントを踏まえた上で値段は決まってまいります。
また、近頃は住宅事情も変化し、大きすぎる作品は敬遠される傾向にございます。
更に、写実的な作品より抽象的なものを好まれる傾向もあるようです。
時代によって好まれる作品も変化しますので、購入時は大変人気で高額な金額でご購入されていたとしても、現在では…という事もございますのでご了承下さい。
おわりに
リトグラフの作品は真贋を含め価値の見極めが大変難しいお品物となってまいります。お宅のお片付けなどで眠っているリトグラフ作品が出てきた!などの場合がございましたら是非いわの美術へご相談下さい!
経験豊富なスタッフがお客様の大切な作品を査定いたします。
先ずは作品のお写真を撮って頂き、メールやラインでお送りください!
皆さまからのお問い合わせお待ち致しております‼