造形芸術の一つである絵画は、平面に線や色彩で図像を表現するもので、素地や媒材によって様々な種類に分かれます。
古くは先史時代の洞窟壁画にまで遡ることができ、人類の持つ原始的な表現方法の一つであり、文明の発展とともに高度化しました。
古代から中世にかけての絵画は宗教に深く根差し、貧富のある未成熟な社会においては富と権力のもとに栄えます。
近世になると西洋では人文主義が台頭し、写実と遠近表現の技法が完成し、日本では中国からの影響が引き続きながらも独自の絵画形式が発展しました。
市民社会の発展する近代から現代にかけて、絵画の表現方法・テーマは多彩な広がりを見せます。
多くの流派を産み出しながら現在まで残された傑作は、美術史だけでなく人類の歴史の重要な一側面となっています。
絵画に包括される平面作品は幅広く、技法も多岐にわたります。
西洋絵画では、油彩・水彩・ガッシュ・テンペラ・フレスコ・パステル・ペン画・ドローイングなどが、日本画では岩絵の具や胡粉など千数百年伝わる伝統技法、水墨画が挙げられます。
また広義の平面作品全体として、版画・切り絵・ちぎり絵・コラージュなども絵画に含めるとする解釈もあります。
「日本画」という呼称は明治期に西洋絵画が輸入され、伝統絵画を区別するため生まれた呼称です。
それまでは円山・四条派、狩野派、やまと絵など各流派に分かれて呼ばれており、明治20~30年代に日本画の呼称が浸透し、東京美術学校創立の頃には美術団体が生まれ美術展覧会が開かれるようになり、異なる流派ごとに影響しあう新しい時代に入りました。
現在の美術市場に流通する日本画は、明治・大正・昭和以降の画家が主流ですが、江戸時代のものも見られます。
日本画の本来の飾り方は掛軸として軸装するものが伝統であったため、掛軸として保管されていることも多くあります。
大きな作品としては屏風があり、面の数によって六曲、二曲一双などで数えられます。
人気の日本画家の作品は木版画になっているケースもあり、木版画では肉筆画よりも評価が下がるので注意が必要です。
高価買取が期待される画家
上村松篁、片岡球子、加山又造、川合玉堂、小倉遊亀、下村観山、千住博、高橋常雄、富岡鉄斎、中島千波、東山魁夷、菱田春草、平山郁夫、横山大観
明治期に西洋絵画が輸入されると1876年に工部美術学校が開校し、早くから洋画家が生まれます。
欧化政策への反発から一時は国粋主義にあおられ不興を
豊かであった第二次世界大戦前に発展した日本の洋画は、現代美術史においても特異な存在感を放ちます。
高価買取が期待される画家
朝井閑右衛門、牛島憲之、梅原龍三郎、香月泰男、鴨居玲、絹谷幸二、草間彌生、小磯良平、児島善三郎、東郷青児、荻須高徳、林武、藤田嗣治、古吉弘、中山忠彦、三岸節子、三栖右嗣、森本草介
日本の美術市場で流通の見られる外国人画家による西洋絵画は、19世紀後半から20世紀、現代の作家が多く見られます。
有名な画家は贋作・レプリカ・印刷ポスターにご注意ください。真筆・肉筆の油彩や水彩、デッサン、素描などは高額となる場合があります。
高価買取が期待される作家
アイズピリ、イカール、カシニョール、カトラン、ガントナー、コタボ、ゴリチ、シャロワ、ジャン・ジャンセン、レスリー・セイヤー、デペルト、ベルナール・ビュッフェ、ロジェ・ボナフェ、
アンリ・マティス(肉筆)、マリーニ、ジョアン・ミロ、ジョルジュ・ルオー、ルノワール、ロートレック、マリー・ローランサン、アンドリュー・ワイエス、ワイズバッシュ、
絵画は上記のように日本画・洋画・西洋絵画と分類されますが、いずれのカテゴリでも人気の高い主題には共通項が見られます。
中古美術市場においては難しい美術的真価というより、実際に購入する方のお宅・事業所などに飾られることが多いため、日常の一角を彩る作品の良さが優先されます。
人気の高いモチーフとしては、美人画・花鳥画・風景画(山、水辺、街並、雪景色)、静物画、肖像画などです。
また、具象画以外にも抽象画や開運・幸運を運ぶ類の作品も非常に人気があります。
・作家の評価と作風
絵画の買取ではまずどの画家の作品か・画家の中古美術市場での人気はどの程度かによって買取価格が左右されます。
また、同じ画家であっても制作時期によって作風が異なる場合も多く、画家名や大きさだけではお値段の判別は難しくなります。
・技法
技法についても重要で、肉筆・直筆の油彩画・水彩画・日本画は高評価でもリトグラフ、シルクスクリーン、木版画などの普及版技法となると評価は下がります。
素描やデッサン、書簡などでは希少性やその時々の市場傾向により判断されます。
・鑑定書
贋作が多く真贋見極めが重要となる有名作家では、画廊などによる証書、公式鑑定人による証明書が重要となります。
・作品の大きさ
大きさと価格は比例するのかというと、画題の人気の高低によります。号いくら、といった美術品売買の指標は中古市場ではあまり重要とならない場合があります。
・作品の状態
絵画はシミ・ヤケ・ひび、その他の経年劣化や損傷があると評価が下がります。
直射日光をはじめ、高温・多湿・寒暖差・室内灯なども影響するため、良い状態で長期保管するためには管理が難しい品物でもあります。
絵画をご売却される際には、まず画家・技法・画題(絵のモチーフ)・作品名(明記がある場合)をご確認ください。
査定時には額装・タトウ箱など付属品も重要となります。
画廊・デパートなどによる保証書、展覧会出品についての記載はおもに作品裏面に添付されることが多いですが、別途発行されている鑑定書などは紛失されぬようご注意ください。