画仙紙とは、書道または水墨画で用いられる手漉きの書画用紙で、薄絹のような繊細さで筆の表現力を最大限に活かせる素材として長く愛されています。
日本の書道の練習用では半紙が主流ですが、出品する作品などには画仙紙が用いられます。
日本産の画仙紙もあるものの原料や工程の違いから紙質も異なっており、日本産と中国産を区別して中国産を「本画仙」 と呼びます。
安徽省宣城市涇縣で作られるものがトップブランドであり、この土地の古い地名が宣州であることから、画仙紙は宣紙とも呼ばれます。
他産地の宣紙に地名をつけて~~宣紙と呼び、福建宣紙なども根強い人気があります。
書画に用いられる手漉き紙を一般に書画紙と言い、そのうち上級のものを画仙紙・宣紙と呼びます。
宣紙の由来は、宋代に欧陽脩らが編纂した「新唐書」に、唐代に安徽省宣州府では高級紙を皇帝へ献上していたと記載されており、宣紙と呼ばれるに至ったと考えられています。
また中国では漢代に製紙技術が興り、唐代で既に画仙紙の制作技術が確立していたこととなります。
画仙紙の原料で重要なのは青檀の樹皮で、このニレ科の高木は安徽省をはじめとする中国東部から西北に自生するため安定した供給がありました。
青檀と並んで、宣紙専用に砂地で栽培された稲藁も材料となり、2年かけて乾燥させることで白さを損なわない素材となります。
宣紙はにじみや擦れの表現を支え、書道と水墨画の発展に帰依することに留まらず、虫食いや腐食にも非常に強く保存性は1000年を超すともいわれ、貴重な中国書画を後世に伝える一端を担ってきました。
宣紙のなかでも最高級とされるのが紅星牌です。
長年にわたり材料の生成から紙漉きまで最高級宣紙を自負しながら伝統を守り抜き、激動の時代を超えながら作り続けてきました。
しかし1990年代後半からは効率化の名のもと工法が改変されるなどし、紙質もこの時期から硬化しているとの意見があり、1990年代前半以前の古い紅星牌製画仙紙に注目が集まっています。
その他安徽省には蘭亭牌、五星牌や三星牌、金星牌などがあり、これらも名門メーカーとして書道愛好家に支持されています。
画仙紙は大きさによる分類のほか、以下の種類に分かれています。
基本的には素材となる青檀と稲わらの割合、厚さによって決まります。
棉料単宣 標準の種類、藁の割合が多く浄皮単宣よりニジミが多くなる。
浄皮単宣 厚さは棉料単宣と同等、藁の割合が少なくニジミが少ない。
棉料重単宣 単宣を少し厚く漉いたものでニジミが少ない。
棉料綿連宣 単宣より薄く漉いたもので、ニジミが美しく出る薄さ。
棉料夾宣 二度掬いして漉いているため単宣を2枚重ねた厚さ。
棉料二層夾宣 棉料夾宣が乾くまえに2枚重ね1枚の紙として乾燥させたもの。厚みがあり墨がよく浸透し夾宣より力強い表現に向く。
棉料三層夾宣 さらに1層重ねごく厚く、大筆の表現などに向く。
絶対的な人気を誇る安徽省の宣紙の他にも、中国産の書画紙には人気の品があります。
その代表が福建省産の一番唐紙・二番唐紙で、これは宣紙とは異なる竹で作られ、紙質は異なるものの竹紙特有の良さもあり、宣紙と並んで支持されています。
一番唐紙・二番唐紙は日本のみでの呼称で、中国での通称ならびに商品名は「老灰紙」「毛辺紙」「白蓮半紙」「白唐紙」などとなります。
一番唐紙は粗い紙質、二番唐紙のほうが滑らかな質感をもち、白唐紙は墨が際立つ漂白した白さが特徴となります。
書画紙の保管には直射日光と湿気が大敵であり、日陰で湿度の低い場所での保存が推奨されます。
保存状態の良かった紙は、漉きたての新品より墨色が冴え墨の乗りも良くなるといわれています。このため、わざわざ古紙の中国画仙を買い求める愛好家もいます。
古い画仙紙の人気は高く、そのため開封済みであったり使いかけの状態でもお買取り可能な場合が多くございます、まずはご相談くださいませ。
中国では21世紀に入る頃から、都市部への人口流出と経済発展、それによる人件費の高騰、資源保護の機運などによって、旧来画仙紙の製法を守り伝えてきた産地にも大きな変化が及びました。
福建土紙の現場では職工を継ぐ若者が途絶え、また書道用の一番唐紙を作るよりより簡素な仏事用などの製紙へシフトし、長きにわたり一番唐紙の製造が完全に止まっていました。
しかし書道家からの中国画仙紙への熱烈な支持は変わらず、中古市場に流通する古い画仙紙に注目が集まっています。
良質な画仙紙が作られていた1990年代前半までの古紙はとくに価値が高い傾向にあり、保存状態が良好な場合、高価格での買い取りが期待できます。
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