今回お買取りの中から紹介させていただくお品物は、赤石文雄の油彩画『白いコスチューム』です。
赤石文雄は現代パステル画界の第一人者であり、他に油彩やガッシュの絵画も手掛けています。
こちらは赤石文雄としては珍しい油彩画であり、得意とする繊細な幽玄の世界が広がる作品です。
鳥取県に生まれた赤石文雄は、理系の秀才で大阪大学理学部に進みます。
在学中に絵の制作を始め、卒業後は画家の道を選び、イギリス、フランス、オランダ、ドイツを取材旅行しました。
その後も度々イタリア、ギリシャ、スペイン、エーゲ海などのヨーロッパ各地を訪れ、造詣を深めます。
卒業の翌年には大阪、松江、広島にて個展、数年を待たずに二紀展入賞など、たちまち頭角を現しました。
1989年37歳の時に第一回現代パステル協会展でグランプリに輝き、翌年もグランプリを獲得しています。
以後は個展を中心に活動をしており、現代パステル画界の巨匠と言われる存在です。
パステルはあの色とりどりの角張ったチョークのような画材です。
乾燥して粉末にした顔料を、粘着剤で固めています。
削って粉に戻すことですぐに使うことができ、指やスポンジで塗ることが可能で、美しくなめらかな風合いが特徴です。
色を表すパステル(カラー)はこの画材が語源であり、パステル独特の淡い中間色から来たとされています。
パステルの最大のメリットは水やパレット、筆さえも不要であるという手軽さでしょう。
しかし色を混ぜることはできないので、自分の好きな色のパステルを揃えておく必要があります。
また 触ると色が落ちるので、フィキサチーフなどの定着剤を用いてパステルの粉を固着させて作品の完成です。
このパステルを使用した絵画がパステル画と呼ばれ、その手軽さからパステル画を制作する日本画家や洋画家も多く存在します。
三岸節子、高塚省吾、林武、ドゥルー・ストゥルーザン、藤島武二、香月泰男、田村能里子、天野喜孝、杉山寧、鴨居玲、木村忠太などの手掛けるパステル画は中古市場で需要が高いので、まずはお問い合わせ下さい。