骨董の世界においては、やきもの、書画、茶杓などの茶道具など、作品本体に共箱が付いていない場合は、美術品としての価値がかなり減ってしまうものがあります。
この共箱文化は、日本独特のものとされ、海外の骨董品(アンティーク)ではあまりみかけられません。作品本体に付属する箱の箱書きに有名宗匠や茶人、大名の筆跡が残されているなど、古箱付の茶道具であれば、市場での価値は上がり、価格は高額となります。
骨董の世界での箱の種類は大きく分けて3種類「書付箱」「共箱」「極め箱」があります。
書付箱(かきつけばこ)
茶道の家元や高僧、大名など権威のある人物が作品の品名を書いた箱のこと。 共箱(ともばこ)作家物のやきものや書画などは、作品を納める箱も同時につくられるのが原則です。
共箱(ともばこ)
共箱は、作家が作品の内容を記した「箱書き」のある箱のことを指します。箱書きは、共箱の蓋の甲や裏に作品名、作家名が記されており、書き方には蓋の甲に「作品名」と「作家名」が書かれているもの、蓋の甲に「作品名」、蓋の裏に「作家名」が書かれているものなど、いくつかのパターンがあります。共箱が無い作品の価値は半分以下ともいわれています。
極箱(きわめばこ)
作家の親族・後継者、鑑定者が、本人の作品であると認定した箱。箱には鑑定・認定した人の箱書きがあり、評価としては、共箱と同等の扱いとなります。
また、作品が本来の箱に入っていないでそれらしい別の箱にはいっていることがありますが、これを合箱(あわせばこ)といいます。 持ち主が改めてあつらえた箱は値打ちが生じます。
共箱などの箱は、やきものなどその作品がつくられた時代や、購入された時代の資料となり、特に年銘のある箱は、その作品の作成年代の下限を示すので、貴重とされます。年銘のないものでも、目利きであれば、箱のつくりや色から大体の年代を判定することができるといわれています。
茶人は特に伝来を貴ぶこともあり、箱や帛紗など、陶磁器作品に付属するものを重視する傾向にあります。
茶道具は、箱などの付属物を含めた全体でひとつの美意識を表現することもあり、名器においては箱の味わいが価値を決める重要なポイントのひとつになります。よりよい調子の箱を合わせることによって演出されることもあり、時代ものの場合、作品本体よりも箱の方が古いことも珍しくないといわれます。
やきものなど作品が割れてしまい、他に転用するなど、箱と中身が入れ替わることはよくあることです。現代作家の場合も箱を紛失・破損したとして、箱書きをもらい、その箱に別物を入れる場合もみられます。箱がその作品に付属したものであるかをみる場合は、箱の縦・横・高さがぴったり合っているかどうかや、箱底に長年置かれた跡があった場合、その径が索引と一致するかどうかなどをみてオリジナルの箱であるかどうかを判別する手がかりとします。
また、共箱など箱の素材は、現在は「桐」のものが主流ですが、これは江戸時代中期以降使われるようになったとされ、江戸時代前期・中期ころまでは「杉」の箱におさめられるケースが多く見受けられたといいます。江戸時代中期ころまでの古いやきものの場合は、杉の箱に購入した年銘などが書かれていることが多く、江戸時代前期に活躍した茶人などの箱書きが「桐」の箱に書かれていることはほとんどありません。つまり、桐の箱に江戸時代前期までの年銘のある箱書きがある場合は、偽物である可能性が高いといえます。箱書きが重要視される茶道具においては、箱の贋作も氾濫していますが、こうした知識も、箱を鑑定する上で役に立つ事項のひとつです。
買取査定に出す前には、共箱の確認を!
茶道具など多くの作品には木箱である共箱が付属しています。共箱は茶道具の価値を決める重要な要素のひとつであるため、買取査定の際は、必ず共箱に入れて出しましょう。
共箱の有無が、買取査定額にも影響します。
茶道具の茶碗など、お使いになられているうちに、共箱が入れ子になってしまったり、わからなくなってしまうケースもあるようですが、よくわからないからといって処分したりせず、いわの美術にご相談ください。
いわの美術では、目利きの査定士が常籍しており、買取査定時に作品と共箱を照らし合わせ、市場需要なども加味しながら、適正な査定を行っております。買取についてわからないことがあれば、お気軽にメール・電話にてお問合せ下さい。