欧米を中心に世界中に愛好家のいるパイプ。パイプはアメリカ大陸にコロンブスが上陸する以前からアメリカ大陸では使用されており、コロンブスによって世界各国にパイプが広まっていったといわれています。
パイプスモーカーにとってパイプはまさに生涯の友といえますが、現代、一般的に広く使われているパイプはブライヤーパイプと呼ばれるものです。
ブライヤーパイプのブライヤーとは、ホワイトヒースと呼ばれるツツジ科の灌木の根で、その根のコブを削り出して作られるブライヤーパイプは、世界中の愛好家から親しまれています。
ブライヤーは、硬質で軽く、加工しやすいため、19世紀中頃にヨーロッパに登場すると、瞬く間に世界中に普及しました。ブライヤーは熱に強く、木目(グレイン)や型・形状が美しいといった性質も合わせもっています。
ここでは世界中に普及しているブライヤーパイプを例に取って、パイプの構造と各部の名称について、日本パイプクラブ連盟の解説をもとに簡単に説明します。
パイプの基本構造はシンプルで、煙草を燃やす部分と、煙を通す部分に分けられます。 素材としては、木のブライヤー部分と、硬質ゴムのエボナイトの部分に分かれます。
※エボナイトは、天然ゴムと硫黄などを混ぜて加熱をした、弾性の少ない硬質ゴムに変化させたもので、プラスチックやアクリルと違い、歯のあたりが微妙に柔らかく、マウスピースの材料に適しています。
ブライヤー部分にパイプの顔ともいえるタバコを燃焼させるボウル(BOWL)があり、このボウルの木目、大きさ、傷の有無、形状といった質によりパイプの大部分の価格が決まるといわれています。ボウルの内部はチャンバー(火皿 CHAMBER)と呼ばれます。
ボウルから伸びている軸がシャンク(SHANK)で、タバコの煙はシャンク(煙道)を通りマウスピースへと伝わります。
シャンクの端にエボナイトとの接合部になるダボ穴(MORTISE)と、ブライヤーとエボナイト側の接合部であるダボ(TENON)があります。
シャンクの先には吸い口となるマウスピース(MOUTHPIECE) があり、通常シャンクと切り離せる構造になっています。マウスピースの先端に歯止めのリップ(LIP)またはビット(BIT)があります。
リップは、パイプを歯で咥えるために歯に引っかかる形状となっています。ビットはマウスピースの咥える側の1/3ほどの長さの部分で、歯と唇が触れるこの部分の薄さは、スモーカーにとって重要な快適さの指標となります。