絵画などの美術品や骨董品を売却すると税金がかかる、という話を聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。中には税金がかかることを懸念して、売却に踏み切れない方もいらっしゃるかもしれません。
そこで今回は、美術品や骨董品の譲渡所得にまつわる豆知識をご紹介します。
美術品、骨董品などは、所持しているだけでは税金は発生しません。固定資産とはみなされていないためで、いかに高価なものであろうと所持しているだけならば無課税です。
しかし資産ではあるため、美術品や骨董品を売却した場合には税金が発生します。1つ30万円以上のものに関しては譲渡所得、つまり資産を譲渡することになり所得を得たとみなされるため、所得税の申告が必要となります。逆に考えれば、多数の骨董品を売却して多額の売却金を得たとしても、1つ当たり30万円を超えていなければ所得税はかかりません。
譲渡所得が課税対象となる場合は、課税対象額を以下のように計算します。
課税対象額=譲渡価額-(取得費+譲渡費用)-50万円
取得費とは、購入価格、購入手数料、設備費、改良費などの、美術品や骨董品を購入するためにかかった費用をすべて足して算出します。
譲渡費用は、譲渡(売却)するためにかかった費用で、仲介手数料などがこれに当たります。
最後にマイナスする50万円は特別控除です。額は固定で、一律に差し引かれます。
譲渡所得の対象となるものを複数売却していた場合は、譲渡価額、取得費、譲渡費用をすべて合算しますが、特別控除は複数点を売却した場合でも一律に50万円のみです。
譲渡所得の対象となるものを5年以上所持していた場合は長期譲渡所得、5年以下の場合は短期譲渡所得となり、長期譲渡所得の場合は半額が、短期譲渡所得の場合は全額が総合課税の対象となります。
長期、短期の譲渡所得が同時にあった場合、先に短期譲渡所得から50万円を控除します。なお譲渡額の合計が50万円以下の場合、その金額までしか控除はできません。
以上の計算の結果、課税対象額がプラスになった場合は課税対象となりますが、計算結果がマイナスになった場合は課税対象とはなりません。例えば高額で購入した美術品、骨董品が、その後価値が減じる、相場価格が下落する、実は元の価値よりも高い価格で購入していたなどで売却しても大した利益にならず赤字だった、といったケースでは課税対象になりません。
例えば、10年前に1,000万円で購入した絵画を、1,500万円で売却(譲渡費用なし)する場合の課税対象額は以下のようになります。
1,500万円-(1,000万円+0円)-50万円=450万円
同じ絵画を500万円で売却(譲渡費用なし)する場合の課税対象額は以下のようになります。
500万円-(1,000万円+0円)-50万円=-550万円
後者の場合は計算結果がマイナスとなるため、課税対象とはならず、税金はかかりません。
骨董品の場合は鑑定人の目利きにより価値が大きく変動しますし、そもそも贋作が流通することも多いため、売買で大きな損益を出すことも珍しくはありません。そうした場合、課税は「購入額」ではなく「購入額と売却額の差益」が対象となるため、大金を払った上に税金も払わなければならない、といったことにはなりません。
今回は、譲渡所得の豆知識をご紹介しました。
美術品や骨董品を、購入金額よりも高い金額で売却する場合は、課税対象となり税金がかかる可能性があります。骨董品などの買取を依頼する際は、まずは査定をしてから課税対象となるかどうかを計算し、その上で売却するかどうか検討するのが賢い方法だといえるでしょう。
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