香木は香り高い木の事を指し、香道の際に香炉を使い香りを楽しむ品物です。
今回は、古代インドが発祥とされる香木についてお話致します。
香木は天然のいい匂いを放つ木材で、代表的な種類は上から伽羅(きゃら)、沈香(じんこう)、白檀(びゃくだん)の三種類となります。
●伽羅(きゃら)
香木の中で最高級の一品です。
伽羅は沈香と同じ木から取れる香木ですが、沈香の中でも油分が多く色が濃い事から古代インドのサンスクリット語で「カーラーグル」
(黒沈香)と呼ばれ、また伽羅という言葉がサンスクリット語で黒いという意味を持つ事と「カーラーグル」の頭の文字の「カーラー」
を取って伽羅と呼ばれるようになりました。
●沈香(じんこう)
伽羅の次に香りが良い香木です。
木は基本的に軽いので水に浮かびますが、木の樹脂が付着する事で重くなり沈みます。
沈む香木というところから沈香と呼ばれました。
香木に使われるジンチョウゲ科の木は、何らかの形で物理的に内部に傷などがつくと修復する為に樹脂を分泌します。
この樹脂が何年も蓄積される事で香りの良い香木となります。
●白檀(びゃくだん)
白檀は伽羅や沈香とは別のビャクダン科の木から取れる香木です。
伽羅や沈香と違い樹脂ではなく木自体が甘い香りを放っています。
紀元前五世紀頃には、高貴な香木として使用されていて香木の中では最も古い時代から存在します。
また、非常に硬い為加工もしやすく、仏像なども多く作られていました。
飛鳥時代、古代インドから中国へと渡った香の文化が仏教と一緒に日本へ伝わりました。
淡路島の沿岸付近に漂着していた木を持ち帰り火にくべたところ良い香りがしたため、朝廷に献上したところ
重宝されたという伝説が日本書紀に記されていますが、これは香の文化が日本に伝わった後と言われています。
その後、奈良時代では仏前を浄め邪気を払う為の供香として使われていましたが、中国から来た僧「鑑真」(がんじん)
により香薬や香の配合技術が貴族達に伝わった事で、普段の生活でも香を楽しむようになりました。
平安時代には、香木を焚くという方法ではなく様々な香を粉にして混ぜ合わせ蜜や梅の肉で固めた薫物が主流となり、家ごとに
様々な香を混ぜ合わせた薫物を披露する薫物合わせと呼ばれる行事もありました。
生活の中では薫物を部屋の中で焚き、部屋の香り付けや衣服に匂いをつけたりしていたそうで、今で言う芳香剤のような役目を果たしています。
鎌倉や室町時代には、香りを鼻で嗅ぐのではなく心を傾けその中で香りを楽しむ「聞香」という方法が確立され、江戸時代になるとそれまでは
貴族や武士などの高い階級の者にしか持つ事の出来なかった香木が、中くらいの経済力を持つ町民にも渡るようになり、現在では幅広く香木で香りを楽しむ事が出来ます。
昔は香木に直接火をつけて焚くという方法がとられていましたが、現在は火を付けた炭を灰の中に入れて温まった所に
香木を置き香りを楽しむという方法に変わりました。
現在香木で香りを楽しむ方法は「空薫」(そらだき)と「聞香」(もんこう)という2種類の方法がございます。
「空薫」は、お部屋の中に香りを漂わせる現在でいう芳香剤の役割を果たしています。
やり方は、炭に火をつけて灰を入れた香炉の中に置き、炭がおこるまで待ちます。
炭がおきたら灰の中に浅く入れ灰を温め、温まった灰の上に香木を置き熱で焚いていきます。
この熱が香木に伝わり、直接焚かなくても香りを放つのです。
「聞香」は、匂いを嗅いで楽しむのではなく、香りに心を傾けて心の中で楽しむという方法です。
やり方は、香炭団と呼ばれる大きめの炭をコンロや電熱器などで全体的に火をおこします。
香炉の中に入れておいた灰を火箸で慣らし真ん中に窪みをつけ、そこに熱した香炭団を入れます。
香炭団を入れたら、横から灰をかいて山になるように中央を盛り上げます。
盛上げた真ん中部分に火箸で真っ直ぐ穴をあけ、炭の熱が通る「火窓」(ひまど)という道を作ります。
「火窓」の上に「銀葉」(ぎんよう)というプレートを乗せ、その上に香木を置いて「聞香」の完成です。
香木の中でも希少価値の高い伽羅は高価買取が期待出来るお品物です。
ですが、希少価値が高い事で偽物も数多く出回っております。
香木は重く香り高い品物が良いとされているので、原木の中に重りを詰め香りづけをした偽物も多く出回っています。
その為、一般の方が判断する事は大変危険ですので、必ずプロに査定を頼みましょう。
ただし、香木の査定には最低限お品物の画像と重さを頂かないと査定が出来かねますので必ず用意して下さい。
買取について
ご実家の整理でガラスケースに入っている木があったり、倉庫の中から木箱に入った木が出てきた場合、
匂いを嗅いで普通の木より良い匂いがしたら、それは香木の可能性がございます。
見た目だけで「木だからゴミだ」と思わないでください。
もしかしたらゴミと思って捨てた物が希少価値の高い香木の可能性もございます。
また、香木に限らずどのような品物でも「売れるのかな?」と疑問に思ったらご相談下さい。
よく聞くのが、「売れないと思って捨ててしまいました」というお話です。
早く片付けたいというお気持ちは分かりますが、捨てた品物が10万や20万、もしくは50万という査定になる可能性もございます。
少しでも捨てる数を減らしたい、お小遣いが欲しいと思ったら迷わず査定に出しましょう。
いわの美術では、電話・LINE・メールでのお問い合わせ方法をご用意致しております。
気になったお品物などございましたらお気軽にお問い合わせ下さい。