十二章~中国文様~
中国の皇帝の天子の袍衣(ほうえ)に付ける十二の文様をさし、至高の天子が備えるべき美徳を象徴しています。興服の制により、臣下は付けられる章の数が決まっており、日・月・星辰を除いた九の章を身に着けたものは公爵、七ツの章を身に着けたものは候、五の章は伯と呼ばれる役職の者の礼服につけられました。
- 日(ひ):万物を生成する陽徳を表現し、日輪に三本足の神鳥を描いています。
- 月(つき):陰徳(見えないところで徳を積むこと)を表し、月で仙薬を挽くウサギを描いています。
- 星辰(せいしん):三つの星をつなぎ、四季、世の中を照らし福をもたらすことを象徴しています。北斗七星、五星で表わされることもあります。
- 山(やま):穏健重厚な天子の徳を表し、雨、雲を布散して天子の恩恵が広く人々に施される事を象徴しています。
- 黼(ふ):柄のない斧で「断つ」ことを象徴しています。天子が物事をよく判断し、決断する力を象徴しています。
- 黻(ふつ):一対の「弓」が背中合わせの形で表され、私心のない事や分別が十分あることを示しています。
- 華虫(かちゅう):道理と礼儀を象徴しており、五色のきれいな雉(キジ)で天子の御体を表します。
- 龍(りゅう):応変して天下に布教することを象徴します。鱗のある五爪の一対の仙で表されます。
- 宗彝(そうい):一対の祭器に虎とサルを描いて「勇気」と「智慧」を表します。
- 藻(も):水草で清浄を表し、天子の潔さを象徴します。
- 粉米(ふんべい):米の文様によって「滋養」を表し、天子があらゆる物事の頼りとなっていることを象徴します
- 火(ひ):燃え盛る火焔で天子の徳を象徴します。