堆朱と屈輪文様
堆朱の種類
- 堆朱:油を混ぜた柔らかい漆を何回も塗り重ねて固め、彫りやすい硬さになった漆の上に文様を彫刻したものになります。彫った文の側面から漆が堆積していることが見える様子からこのように呼ばれています。見た目が似ている鎌倉彫などはこのように最初に漆を堆積する手法でないため、塗りの厚みと彫口を比べてみると違いが分かります。堆朱は中国では剔紅(てきこう)と呼ばれ、宋時代以降に盛り上がりを見せました。日本には平安時代末から鎌倉時代にかけてこの技法が輸入され室町時代ごろに本格的な製造がはじまり、各地で作られています。
- 堆黒:堆朱と同じ手法で黒漆を塗り重ねて彫を施したものになります。 土台の表面に漆を数十~百回あまり塗り重ねて適当な厚さにした漆層に刀で文様を浮彫状に表しています。中国においては剔黒(てきこく)と呼ばれています。
- 朱溜塗:溜塗とは下地の塗りの色と上に塗った漆の透明度によって仕上がりの色を様々に仕上げる技法です。朱溜塗であれば、朱色の漆を仕上げに塗った塗りものを指します。
- 金磨塗:堆朱塗や堆黒塗の層に金箔を挟み、彫や磨き上げで金箔を表面に出す効果を作るという贅沢な技法です。
- 色漆塗:透き漆に混色をしたものを重ねて制作した彩漆により様々な色のグラデーションを作ります。硫化鉄や酸化水銀、石黄などの天然顔料ばかりでなく、化学的な染料を用いることで更に色幅が拡がり、この技法によって洋服に合う堆朱のアクセサリーも作られるようになりました。
- 三彩彫:木地に色漆を直接重ねて最後に彫刻して仕上げる手法です。地色に黒を用い、磨いて艶上げを行うため華やかな仕上がりとなります。
屈綸の彫り方
堆朱には漆を幾重にも重ねるという意味があり、一つの堆朱ができあがるまでの工程は16に渡ります。
完成した堆朱の華やかな彫を入れるための土台となる朴や栃に、漆を塗っては乾かすという作業を繰り返す工程は、土台にひび割れを出さないために慎重な塗りが求められるため一年ちかくの年月を要して作られています。
その上に施される屈輪文様は「ぐりもん」「ぐりぐり」「ぐり」と呼ばれています。
日本では山菜の蕨(わらび)の形が元となった渦巻き文を連続させて並べる蕨手文や唐草文、ハート形を並べたような形の意匠として、堆朱や堆黒、寺院建築の装飾に用いられる事がある文様です。
堆朱楊成など買取のコツ
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